box of chocolates
「お待たせ! 座ってよ?」
 私は、勧められるがまま席に座った。揺らめくキャンドルの灯りと、かぼちゃプリンと紅茶。そして、八潮さん。
「ハロウィンパーティーって、スタッフのみんなとするんじゃないんですか?」
「ああ、あれは昨日」
 ハロウィンパーティー自体は、昨日? 私だけが今日だと知らされていたということか。私をわざわざ本店に行かせたのは、そのためだったのか。
「どうして、私だけ」
「これ、食べてよ。楽しみにしていたんでしょう?」
 問いをはぐらかすかのようにして、私にかぼちゃプリンを勧める、八潮さん。
「いただきます」
 たしかに。かぼちゃプリンが楽しみだと、他のスタッフに話をしていたけれど。嫌な予感しかしない中、かぼちゃプリンを口にした。
「どう? オリジナルも美味しいでしょう?」
「美味しいです」
「食べたら、ミーティングだよ」
「ミーティング?」
 聞き返すと、八潮さんが鋭い視線で私を捕まえた。
「個人ミーティングだ」
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