box of chocolates
 戸田さんは、ビッグサイズのハンバーグ、ライスは大盛り、サラダバーの皿には野菜がてんこ盛り。次々とテーブルに並んでいった。
「こんなに食べるんですか?」
 小柄で痩せ型の戸田さんからは想像できないくらいの量に、目を丸くした。
「だいたいの人が驚きますよね。食べている時がいちばん幸せだから、つい食べてしまって」
「太らないのが、羨ましい」
「太りにくい体質なのは、職業柄ありがたいことです」
 食べ始めると、さらに口数が減る戸田さん。どんどん食べる姿を見ていると、こちらまで幸せな気分になるから不思議だ。
「川越さんの誕生日なのに、自分ばかり食べていて。なんだか申し訳ない」
 私の視線を感じたのかもしれない。「とんでもないです」と言って、止まっていた箸を進めた。
「とわちゃんの妹になれる……ってことは、自分より年下?」
「……その前に、戸田さんの年齢を知らないんですが……」
「あ、ああ。すみません。自分は、とわちゃんと同じ年。クリスマスがきたら二十四歳です」
「それなら、敬語は必要ないですよ。私はふたつ年下ですから」
「そう。それなら、川越さんも敬語、必要ないよ。ふたつしか違わないんだから」
 ふたつ年上とは思えない、高校生くらいに見える。ドキドキはしないけれど、無邪気な笑顔から目が離せなくなっているのは確かだ。
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