愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

息をひそめて待つ私の耳に、微かに桜井君と沙紀の話し声が聞こえてきた。
足音が近づいてくる…


来た…


もう既に私の心拍数は人生最高値を記録してるはず。口の中はカラカラに乾き、足もガクガク震えてる。


私が指定した場所の前に立った桜井君の上ずった声に私は冷や汗タラリ…


「マジかよ?俺に、ここに入れって言うのかよ?」


もしかして、軽くキレかけてたり?


私が見つけた誰も居ない場所…
それは…


女子トイレ


私はトイレの外から見えない手洗い場の壁にへばりついて、必死で気を静めていた。


落ち着け…落ち着け…


「一生のお願いだから…ちょっとだけ…ねっ!!
ほら、行ってらっしゃーい!!」


沙紀に背中を押されたのか、桜井君が倒れ込む様に勢い良くトイレに突っ込んできた。


前のめりになった彼が横に立ってる私を見つけ眼を丸くする。


「へっ?北…沢…?」

「う、うん」


どのくらいだろう…気まずい沈黙が続いた。
なんか言わなきゃと思うけど、乾ききった唇が上手く動かない…


「こんなとこに呼び出して…なんの冗談だ?」

「じょ、冗談じゃ…ない。
私、あの…これ、受け取って下さい!!」


彼の眼の前にあのチョコを差し出す。


それが何を意味するのか…
彼もやっと察したのか、背筋を伸ばし無言でチョコを受け取ると小さくため息をつく。


その何気ない彼の反応に胸をえぐられる様な痛みを感じた。


やっぱり…そうだよね…


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