愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

出来上がった料理を囲み龍司と和弥が笑顔で話してる。


「そうか!真央と桜井は同い年か。だったら話しも合うな」


龍司はご機嫌だ。


「真央、桜井にお酌してやってくれ」

「…はい」


気持ちを落ち着かせ和弥のグラスにビールを注ぎ入れる。


「すみません…」


そう言いながら私に頭を下げる他人行儀な和弥を見て、無性に寂しくなる…


「そうだ!まだちゃんと紹介してなかったな。真央、桜井和弥君だ。会社では俺の秘書的な仕事から社用車の運転も任せてる。若いが俺が一番頼りにしている男だ」


運転って…じゃあ和弥は、毎朝、玄関まで龍司を迎えに来てた運転手さん?こんなに近くに居たなんて…扉を隔てた向こうに和弥は居たんだ。そして、私が初めて龍司に抱かれた時も、すぐ近くに居た…


「で、こっちが北沢真央。俺の婚約者だ…可愛いだろ?」


何も知らない龍司が嬉しそうに私の頭を撫でる。


「桜井和弥です。宜しくお願いします」

「北…沢真央です…ここちらこそ、宜しくお願いします」


まるで初めて会ったかの様によそよそしい挨拶を交わす私と和弥。和弥は愛想よく笑っていたけど、決して私と眼を合わせ様とはしなかった。


すると、かなりお酒が進んで饒舌になった龍司が私と和弥のお互いの呼び名を決めようと言い出したんだ。


「真央の事は下の名前で呼んでくれ。結婚したら北沢じゃなくなるし」

「はい」


和弥は顔色一つ変えず頷いている。

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