愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「なんの話しか…知ってる?」


バックミラー越しに和弥の表情を伺う。


「さあな…下っぱの俺が知ってる訳ないだろ…」

「そう…」


短い会話を交わしただけで車はマンションの駐車場に到着し、エンジンが止まった。


「有難う…」


小声でそう言うと車を降り、和弥の顔を見ずに歩き出す。


だって、和弥に関わっちゃいけないと思ったから…私が和弥を好きだと言えば、あなたを苦しめる事になる。


なのに…


「…腹へってないか?飯、まだなんだろ?」

「えっ…?う…ん。まだだけど…」

「俺、今から飯食いに行くけど…真央も来るか?」


意外だった。和弥が私を誘うなんて…


「私が一緒に行ってもいいの?」

「嫌なら誘わないし…」


今まで私の事避けてたのに…急にどうしたんだろう…この前、私が勝手に帰った事、まだ気にしてるのかな?


「あんまり期待するなよ。汚い居酒屋だ」

「あ…うん」


彼に誘われたのは嬉しいけど、和弥の真意がイマイチ分からず困惑気味の私。また彼の後ろを黙って付いて行く。


和弥のアパートを通り過ぎ、赤ちょうちんのぶら下がった居酒屋に入ると、店員の声に促され並んでカウンター席に座った。


なんだか居心地が悪くて意味もなく辺りをキョロキョロ見渡し落ち着かない。そんな私の横でメニューに視線を落としたままの和弥が話し掛けてきた。


「真央、聞きたい事があるんだ…」


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