愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「…沙紀のとこへ行ってあげ…て…」


本当は、まだ和弥に抱き締めていてほしかった。


「俺の事、恨んでいいぞ…」


消え入りそうな彼の小さな声に思いっきり首を振る。


「一番辛いのは和弥じゃない?…恨むなんて私には出来ない…」


2人の視線が絡み合い自然に唇が重なった。


これが最後のキス…


もう一生、触れることが許されない愛しい人の唇。忘れない様に、何があっても忘れない様に、この柔らかい感覚を私の唇に刻み込むよ…


長く切ないキスが終わりを告げると、私達はゆっくり離れ再び見つめ合った。


「真央と再会出来て、俺は最高に幸せだった…」

「私も…」


笑顔で別れよう…


「真央、幸せになれよ…」

「和弥も…幸せになってね…」


私達は別々の方向に向かって歩き出す。和弥は沙紀の待つアパートの部屋へ…そして私は龍司のマンションへ…決して振り返らないと約束して…


けど、路地の角を曲がりアパートが見えなくなると、私は我慢出来ず振り返っていた。必死で堪えていた涙が一気に込み上げてきて頬を濡らす。


「かず…やぁ…」


彼の名を何度も呼び、マンションまでの道のりを泣きながら歩いた。でも、マンションのエントランスに足を一歩踏み入れた時、私はある事を決心して頬の涙を力一杯拭ったんだ…


龍司とも別れよう…


私は優しい彼を裏切り続けた。こんな私が龍司に愛される資格などない。


和弥が望んでいるのは、きっと龍司との結婚だろう。でも和弥がダメなら龍司とだなんて、そんな都合のいい話し、許される訳がない。


2人の前から消える事。それが私を愛してくれた和弥と龍司に対するせめてもの私の愛…


2人の"幸せ"の為に…ここを出て行こう。

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