愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「ホラ!また泣く!だから真央には言いたくなかったんだ…」

「だって…和弥が死んじゃったら…」

「バカ!俺を勝手に殺すな!可能性は低いが、そんな事もあるって話しだ」


私の頬を伝う涙を親指でそっと拭った和弥が苦笑いしてる。


「俺の事で、真央をこれ以上泣かせたくなかった…部長から無理やり真央を奪っても、もし俺に何かあったら…お前を守ってやる事も今みたいに涙を拭ってやる事も出来なくなる…」

「私が泣き虫だから?…私がもっと強くて和弥を支えてあげられる女性だったら、別れずに済んだの?」

「それは違う…そんな真央だから…泣き虫で危なっかしい女だから…俺はお前を好きになったんだ…守ってやりたかった。一生…この手で…」

「…かず…やぁ…」


籐の椅子の背もたれが軋むほど深くもたれ掛かり、宙を仰ぎ見る和弥の姿がとても寂し気で見ていられなかった。


和弥…どうしてあなたはいつも人の事ばかりなの?自分の気持ちや想いは二の次


「俺みたいな男を好きになったばっかりに、真央を苦しめちまった…ごめんな…」


和弥だって苦しんでるじゃない。私なんかより、もっともっと苦しんでるのに、私の心配なんてしなくていいよ…和弥は今まで、ずっとこうやって自分を殺して生きてきたんだね。そして、これからも…


そんな和弥を皆が頼り、甘え、あなたの苦しい胸の内を知ろうともしない。


私だってそうだった。自分の気持ちばかり和弥に押し付けて、あなたの胸に秘めた声にならない叫びを聞こうとすらしなかった…


ごめんね。和弥…


辛かったんだよね…
苦しかったんだよね…

< 330 / 362 >

この作品をシェア

pagetop