愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
彼の顔をまともに見れない。顔が燃えるように熱く耳までジンジンする。きっと、今の私は間違いなくゆでダコ状態だ。
「あの…コレ、有難う」
私は立ち上がると、顔を伏せたままタオルの入ったペーパーバックを両手で彼に差し出した。
自分でも手が小刻みに震えてるのが分かる。
「はぁ?」
桜井君は戸惑いながらソレを受け取ると、不思議そうに中を覗きこむ。
すると、彼がほんの少しだけ微笑んだ。
「なんだ、タオルかよ?
こんな大層な袋に入ってたから、もっとイイ物かと思った。
期待して損したな…」
そう言って私の手にペーパーバックを押し付けると、タオルを首に掛け教室を出て行った。それは、彼が教室に戻って来て数分の出来事。
「はぁ~…」
緊張の糸が切れたみたいに私は力無く椅子に座り込み、ボーッと放心状態。
こんなもの…?
一日中ドキドキして緊張しまくって…なんて呆気ない幕切れ
そもそも、タオルを返すだけの行為に、ここまで緊張した私がどうかしてたんだ…
…バカみたい…また自己嫌悪だ。
ため息を漏らす私の横で、沙紀がポツリと言った。
「ねぇ、真央…アンタ、もしかして桜井君のこと…」
「……!!」
「…好きなんじゃない?」
沙紀はニンマリ笑いながら私を見る。
でも、その視線は怖いくらい鋭くて、私を刺す様に凝視してた。
「バ、バカなこと言わないでよ!!
私はただ、借りたタオルを返したかっただけで…」
「ふ~ん…」
「ホントだよ!!
私が桜井君みたいな人、好きになる訳ないじゃん」
私なんか…
美人でもなく、これと言ったとりえもない私が…
好きになっちゃイケナイ人だよ…