愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「別に、好きになるくらいいいじゃん!!」


沙紀は驚くほどサラッと言ってくる。沙紀みたいなアッケラカンとした性格が羨ましい…


「全く…ウブだね。真央は…じゃあ、そろそろ音楽室行こうか?」

「あ、うん」


私と沙紀は音楽部。別棟にある音楽室に向かう廊下からグラウンドがよく見える。


確か…桜井君、サッカー部だったよね…


私の眼が自然に彼の姿を探してた。


あ…居た。


さっきのタオルを首の前でキュッと結んで、グラウンドを走る姿が眩しかった。


笑ってる…いい笑顔だな…


ウットリと彼を見つめてる自分に気付き、慌てて眼を逸らすが…ホントは、もう自分でも気付いてる。


彼を意識してる事…
特別な人になってるって事…


私は桜井君が…好き…なんだ…


だからって、どうこうしようという気持ちは全く無い。


沙紀の言う通り、私の心の中で秘かに想っているだけならいいのかな…


遠くからでいい。見つめていたい…
彼の笑顔を…




それからの私は、彼を意識しまくっていた。お陰でチラ見が抜群に上手くなった様な気がする。
桜井君がこっちを向きそうになると、サッと眼を逸らす。


こんなこと上手くなっても、なんの自慢にもならないよね…


沙紀は「告っちゃえ!!」なんて簡単に言うけど、そんなの絶対、ありえない。


フラれるの分かってて、そんなこと出来ないよ…
その前に恥ずかしくて彼と話しなんて出来ない。


そして、そんな状態が何ヶ月も続いた冬休み明けの三学期のことだった…

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