愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
"公衆電話"という文字に指が止まる。
もしかして、これなの…?
森本君にまで携帯の番号を知られない様に公衆電話を使ったって事は、私にバレて連絡が入るのがイヤだから?
そこまで私は和弥に嫌われたって事なの?
携帯を持つ手が力なく膝の上に落ち、頬を伝い零れ落ちた大粒の涙が携帯のディスプレーを濡らす。
ホントに終わりなんだね?さよならなんだね?和弥…
「真央、泣くな。俺が側に居てやるから…薄情な和弥の事なんか忘れろよ」
森本君が後ろから包み込む様に私を抱き締めてくる。
今の私にとって、彼の肌の温もりは救いだったのかもしれない。だって、愛されてるって凄く伝わってくるんだもん。
何もかも承知で私の事好きだと言ってくれてる。私が和弥を好きだと知ってるのに…
森本くんに申し訳なくて、胸がチクチク痛んだ。それと同時に彼の優しさに縋りたいという気持ちが大きくなっていく。
「有難う…森本君」
私は心の底から彼に感謝していた。
「俺の女になるよな?」
「こんな私で…いいの?」
涙で濡れた私の唇に彼の熱い唇が重なる。
「真央…お前しか駄目なんだよ…。今まで色んな女を相手にしてきたけど、こんな気持ちになったの初めてだ。大切にするから…なっ?いいだろ?」
和弥の事は、忘れなきゃイケナイんだ…
森本君なら、忘れさせてくれるかもしれない。この人なら…
私は離れていった愛しい人を忘れる為、眼の前の澄んだ瞳の彼を選んだんだ。
「真央は、俺のモノだからな…」
「…うん」
森本君のキスは、私の全てを奪っていくみたいだった…