同期が急に変わったら…。〜将生side〜



夏が終わり、

クールビズからスーツ着用になった。







隆也に



『飲みに行くぞ。』



と誘われて

待ち合わせの居酒屋に来た。







席に通されて、

入って行くと、

隆也は恵梨香を連れて来ていた。






『将生、久しぶりね。』

『おう。』






恵梨香はいずみの親友であり、

俺にとっても信頼できる友人の一人だ。






『将生、相変わらず忙しそうね。』

『まあな。』

『いずみは頑張ってる?』

『ああ。よくやってる。』

『そう。』





恵梨香と軽く言葉を交わした後、

俺と隆也は

仕事の話をしながら飲んでいた。

恵梨香は黙って聞いていた。






ここにいずみがいれば

もっと楽しいだろうと思っていた。






なんでいずみを誘わなかったんだ?

4人で飲むのは定番だろ?






黙って話を聞いていた恵梨香が

急に話し出した。





『もう、仕事の話はいいでしょ?
ちょっといずみの話しない?』


『あっ。そーだったな。』





隆也は思い出したように頷き

恵梨香と顔を見合わせた。






いずみの話?

なんとなくイヤな予感がした。






『いやさ、
俺の行ってる所の社長がさ。
ちょっとな。』


『………。』






ちょっと?……なんだよ?

イラついてきた。






『そうなの。
その社長が、
いずみを気に入ったらしいのよ。』


『いずみの知り合いなのか?』


『ううん。違う。
うちの会社に来た時に
会ってるらしいわよ。』


『会ってる?』





会社のどこで会うんだよ。

なんだ?その社長。





『ああ。
どうも、いずみに一目惚れらしい。』


『いずみに一目惚れ?…ないだろ?』


『ちょっと将生! 何よ、あんた。
いずみだってモテるんだから。
知らないの?』






恵梨香は、

口調を荒くして俺に話している。





『知るかよ。』


『その社長ね、
すっごいイケメンなの。』


『……。』


『将生なんかね、
相手にならないわよ。』


『は?張り合ってねぇし。』






恵梨香と俺が軽く言い争ってる間に

ニヤついた隆也が割って入る。





『まあまあまあ。
で、紹介しろって頼まれてさ。』


『………。』





いずみを、か?

………。





『いずみの好みの人なんだって。』


『そ。ワイルド系。
背が高くて、顔良し、性格良し、
極めつけは、若手社長ときたら、
なあ?』


『いずみの彼氏になったりしてね?』


『……。』






ワイルド系か。

そーいや、

それ系のミュージシャン好きだとか

言ってたな。







……マジか。



勝手な事、すんなよ。




< 10 / 163 >

この作品をシェア

pagetop