同期が急に変わったら…。〜将生side〜



社食に行くと、

隆也が中央のテーブルに居た。






また、目立つヤツだな。

隅の方に居ればいいものを。

あんな真ん中で、話しにくいだろ。






隆也の近くまで行くと、

隆也はトレーを持って立ち上がり、

目で、向こうへ、と合図した。






さすがだ。

空気読んでんな。






俺と隆也は、

隅のテーブルに座り定食を食べ始めた。






『で、言いにくい何があったわけ?』

『さっそくか。』

『時間がない。早く言えよ。』

『ああ。
企画がいずみを欲しがってさ。』

『は?』





珍しく、あからさまに驚く隆也。

だろ?

俺だって驚いたよ。




時間に追われる俺達は、

ガツガツ食べながら話を続けた。






『突然言われて、まいったよ。』

『いずみ異動か?』

『いや。部長を説得した。』

『あの部長を、か?』

『まあな。』






夏木部長は、

俺達が入社した頃は、

怖くて話さえ出来なかった。

そんな人物に、

俺はいずみを渡さなかった。






『お前、どんな手使ったんだよ?』

『2時間粘り倒した。』

『ハハハっ。すげーな。』

『………。』

『いずみを渡したくなかったか?』

『………。まあな。
いずみは俺のそばに置いとく。』

『へぇ。いんじゃね?
そーいう熱いお前、すきだね。』

『どーも。』






隆也はニヤリと笑い、

お茶を飲み干した。






『で、結局営業に残れたんだろ?』

『ああ、1年間はな。』

『1年?なんだそれ?』

『最長で1年待ってもらった。
その後は企画に異動だな。』

『いいのか?』

『………。
どうせ、いつかは異動だ。』

『なんでだよ?』

『一緒の課にはいれないだろ?』





隆也のニヤつく顔が

更にニヤついた。





『ほー。なるほどね。』

『わかったか?』

『まあね。』

『言うなよ。』

『言わねーよ。恵梨香以外にはな。』





恵梨香以外か。

まあ、いいか。

どうせ、いずみに聞くだろ。






『まあ、そういう事だ。』

『お前、変わったな。』

『そうか?』

『いずみにやられてんな。』

『………。らしいな。』






悔しいが、そうなんだよ。

いずみは大切な存在だ。







『将生、
ちょっとマーケ寄ってくれよ。』

『おう。』






俺達は、10分で昼食を済ませ、

2人でマーケのオフィスに戻った。







< 107 / 163 >

この作品をシェア

pagetop