同期が急に変わったら…。〜将生side〜



マーケのオフィスで書類を確認し、

いくつか修正を指摘した。






『じゃあ、俺、営業戻るから。』

『ああ、ありがとな。
あー、将生、絶対明日来いよ。』







明日は久しぶりに4人で集まる。

いずみはそれを楽しみにしていた。

ドタキャンなんか出来るわけがない。

早めに仕事を終わらせなきゃな。







『ああ。必ず行くよ。
恵梨香は、大丈夫なのか?』

『あいつは大丈夫だよ。
つわりもないしな。』

『そうか。まあ、大事にしてやれよ。』

『おう、大事にしてるよ。』

『だよな。じゃあな。』









営業のオフィスに戻ると、

オフィス前の廊下で

いずみと恵梨香が立ち話をしていた。






俺に背を向けているいずみ。

恵梨香に何かを囁かれて、

ぱっと振り返る。






『おー、佐藤、お前、大丈夫か?』

『大丈夫よ。
ちょうど良かったわ。
明日、早く来てよね。』






ほんとだな。

こいつは大丈夫そうだ。

恵梨香は、顔色も悪くない。





『おう。なるべく早く行くよ。
桐谷、
お前、第2会議室な。』

『会議室?すぐですか?』

『話、終わってからでいい。』

『それは、どうも。』






いずみと恵梨香の横を通り過ぎて、

オフィスに入り、

デスクでパソコンを確認する。






午後からも、

ゆっくりはしていられない。







が、先にいずみの笑顔を見に行くか。






第2会議室のドアを開けると

いずみは、ポツンと椅子に座っていた。





若干緊張しているようで、

俺を見る笑顔がぎこちない。






俺は、いずみの心を解してやろうと

優しく笑ってやった。






『おー、もう話は良かったのか?』





ガチャリ。





そう言いながら、鍵をしめた。






『どうせ、また明日話すし。』

『だな。………いずみ。』






椅子に座るいずみの腕をグイっと

引き上げて、いずみを立たせた。






そのまま、

いずみをギュッと抱きしめた。






『将生、ちょっとぉ。』






いずみは

俺の身体を押し退けようとしたが、

俺はそれを許さなかった。






数日こいつに触れられないだけで

マジでキツかった。

やっと抱きしめられた。

そう簡単には離さない。







更にいずみを強く抱きしめた。

ギュッと抱きしめるだけで、

胸が熱くなる。






『くっ、苦しい。』

『ちょっと黙れ。充電くらいさせろ。
しばらくお前に触れてない。』

『……。』

『いずみ。』

『なに?』






ダメだ。

抑えられない。






片手でいずみの頭を引き寄せ

いずみと唇を合わせた。






軽くだけ、

と思って触れた唇。

一度触れたら

俺はもう止められなかった。






離せない。






どんどん深くなるキス。




いずみと絡み合う深いキスに

ここが会社の会議室だという事さえも

忘れそうになる。






こいつに身も心も熱くさせられ、

完全にまいってる。






が、

いずみも耐えられなくなったらしく、

体の力が抜けそうになっている。






いずみの身体を支えながら、

もっともっと深いキスを続けた。






いずみは、

自分からも俺の首に手を回し

俺を求めた。






………ヤバいな。







このまま続けたら、

マジでヤバい。






『はあっ。』






いずみの艶っぽい顔が俺を煽る。





『いずみ、
その顔やめろ。襲いたくなる。』

『なっ。何言うのよっ。』

『ハハっ。
マジでヤベェから、やめた。』






まだ離れたくはないが、

これ以上はマズい。

仕方なくいずみを腕から離した。







俺といずみは椅子に座って、

お互い少し黙っていた。






さあ、

いずみの笑顔を見せてもらおう。






こいつの喜ぶ姿が想像できて、

つい顔がニヤつきそうになり、

とりあえずニッコリと笑ってみた。






< 108 / 163 >

この作品をシェア

pagetop