儚語り
その、神様が神災で国を滅ぼし国は一夜にして壊滅。



たった一瞬にして、国は壊れ人は死に、地獄と化した。



夢なら覚めてほしいと鬼火は思った。崩れ落ち何とか原形をとどめた鳥居の上から見下ろす風景は、この国の終わりだった。



灰色の空から降り注ぐ雨に打たれながら、鬼火は終始無言のままだった。



巫女の力を持ってしてでも護り切れず、奇襲をかけられ大切な人の元にかけつけた時は――最後まで初音は、自分の任務を全うし鬼火はすべてを失い何時間もひたすら泣き叫び続けた。



雨の匂い。



血の臭い。



雨でさえも血の臭いは洗い流せず、自分が持つ負祓いの力は何も護れなかった。



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