甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
抵抗虚しくそのまま暫く行くと、


ドサッと急に地面に降ろされた。


見回すとそこは会社近くのパーキングだった。


「何なんですか?いったい、どういうつもりなんです?」


「まぁ、落ち着け。兎に角、飯に行こう。それからだ、話は。取敢えずこれに、乗れ。」


と、お洒落な感じの車が目の前に停まっていた。しかも左ハンドル。


「す、すごい……。」


「だろ?」


いやいや、車に感心してる場合じゃなかった。


「私、あなたとご飯なんて行きません。なんで、あなたとなんか……」


「あなたじゃなくて、俺の名前は悟。櫻井 悟(さくらい さとる)。今からはサトルって呼べ。」


「サトル?ってゆーか、呼びませんよ。もう本当に帰りますから。」


「お前さ、また俺に担がれたいのか?担いで道、歩かれるのとこの車に黙って乗るのと選べ。」


選べっていったってさ……。


大体、ほぼ初対面で車に乗るって、普通は危険でしょ?


はっ、もしかして、この人、私の事をーーーー


「ねえから。お前が今、頭ん中で想像してること、ありえねぇから。俺は女と金だけは切らしたことがない。」


な、なにそれ?


なんでそんなにも自信ありげに言えるかなぁ?そ、そりゃ、確かに格好良いけど、性格がさぁ最悪じゃんね。


「おい、早くしろって。乗らねぇなら担ぐぞ。」


「そ、それは嫌っ!」


仕方ないかぁ……。


「ほ、本当に何もしないでくださいね?」


「しねぇよ。お前ごときになんで俺が。ある意味、その自信が羨ましいわ。クックックックッ……」


腹立つ…。


そんなこと言って、昼間、私のファーストキス奪ったくせにぃっ!


もういいや。なんか意識してる私がバカみたいに思えてきた。


「乗ります、そこどいてください!」


そういうと、


「はい、どうぞ、お嬢様」


って、車のドアをゆっくりと開けてくれた。


ううっ…悔しいけど格好良い。







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