甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
それは俺が学校で九九を
習い始めた頃だったっけか?


どうしてそれを覚えているのかっつーと
そいつも九九を覚えていたからだ。


そう、そいつ。
クリクリとした大きい目。
白い肌。
癖のあるフワフワとした
薄茶色の髪。


どっから見ても人形のような
顔したやつが
店からすぐ近くの公園のベンチに座って
一の段から順に声だして言っていた。


俺は丁度、全部言えるように
なった頃だったから
「ふぅ~ん」
って感じでただ聞いていたんだけど
そついが何回やっても
6の段の所で毎回つっかえるから
とうとう、我慢しきれず声かけたんだ。


「6×7は42だろ?」


俺がそういうとめっちゃくちゃ
驚いた顔したけど
そのまま段の続きを言い始めた。


何となく俺もそいつの隣に座って
一緒に九九を言い始めた。


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