clover's mind
「草太」

「はい?」

「おれってなかなか気の利くマスターだと思わないか?」

「…………」

 スキップしながら店をでようとした俺は固まった。

 ぐぎりごごがぎ、というきしむ音でも聞こえそうな動作で後ろを振り返ってみたが、マスターはすでに鼻歌うたいながら新しいストック用の珈琲を作っていたため視線は合わなかった。



 うさんくさい髭をはやしたおっさんは、洞察力も特級品だったらしい。
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