チェリー~君が呼ぶ、あたしの名前~
「いつもチェリは、東京の天気を教えてくれた。今日は晴れてる、少し温かい、風が気持ちいい…いつも、いい天気を。…咲羅は晴れの日が好きだったから。雨が降ると、いつもふてくされてさ。チェリが晴れだと教えてくれる度に、あぁ、咲羅の機嫌がいいなって、少しだけ幸せになれた」
そういえばいつも、マモルは東京の天気を聞いていた。
こういう理由だったんだ。
「俺…目が見えなくなって、だんだん視界が狭くなって、いつも…人に助けてもらってた。今まで出来てたこともできなくなって…結構、落ち込んでたんだよね」
マモルの苦笑。あたしは笑えない。
「そんな時、チェリに出会った。チェリはいつも…俺の"声"を必要としてくれてて。俺…凄い嬉しかったんだ。こんな俺でも…誰かの役にたってるって。必要としてくれてる人に、会えたって。だから…言えなかった。隠してた。俺の満足のために…チェリを、利用したんだ」