【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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咲輝翔さんが用意してくれた

夕食を食べた後

順番にシャワーに行った。

再びこの水色のフリースワンピを着て

リビングに戻った私は

彼が入れてくれた

熱いローズヒップティーを啜った。

「…おいしい。ふぅ…いい香り。」

「…羽美花。」

彼がカップを

テーブルに置いて私を見た。

逸らせないくらいジッと見られ

私もカップを置いて彼を見た。

「…あっ、あの。」

何を言われるのかわからず、戸惑う私に

「…そんなに緊張するな。
もう怒ってないから…。
さっきは、俺も悪かった…。」

彼は私に謝った。

私は首を振りながら

「…咲輝翔さんは悪くないです。
…これ…凄く可愛い。
ありがとうございます。」

と、裾を少し摘まんで微笑むと

「…そうか。良かった。」

ホッとした顔をした彼が

「…なぁ、羽美花。
これから俺が『いいよ』って
言うまで目を瞑っててくれる?」

と、私にお願いをしてきた。

「…えっ?はい…いいですけど…。」

なぜかはわからないけど

言われた通りに私は目を瞑った。

…何かな?と、ドキドキする。

すると

私の首と、右手薬指の両方に

ヒンヤリとした感触と違和感を感じた。

「…はい。ゆっくり目を開けて。」

OKが出て、私はゆっくり目を開けた。

「……!!」

私の首元には

羽根と花の2種類がデザインされていて

それぞれに小粒のダイヤモンドが

埋め込まれたシルバーのネックレスが。

そして、ネックレス同様

2種類のデザインが

リング全体に刻み込まれて

同様にダイヤモンドも埋め込まれた

美しいプラチナシルバーの指輪も

サイズがピッタリで

私の右手薬指に眩しく輝いていた。

言葉が出ない私に

「…どうかな?」

彼は心配そうに私を見た。

「…凄く素敵です。」

素直な言葉が口から溢れた後

「…でも、こんな高価なのを私が…。」

と、彼を見た途端

彼は両手で私の右手をそっと握り

「…そのネックレスも指輪も
タイトルは『天使の花』だ。
…羽美花の名前の由来と同じだ。
だから俺は是非
羽美花にあげたいと思っていた。」

指輪をなぞりながら優しく微笑んだ。









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