【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…氷室部長。」

コーヒーを飲んだ伊坂が口を開いた。

「…あっ、何だ?」

彼女の事を考えていた俺は

頭の中を起こして伊坂を見た。

伊坂は緊張がほぐれたのか

「…氷室部長が野村さんを想う気持ちは
正田さんの言う通りだと思いました。」

と、いきなり言い出した。

「…なっ、何を言う。
そんなつもりじゃない。」

否定した俺に

「…正田さんには気づかれてます。
氷室部長が秘かに野村さんを
想われている事を。
あっ、安心して下さい。
僕も内密にしておきますし
野村さんは今辛いでしょうけど
笠置さんより氷室部長の方が
野村さんは幸せになれると思いますから
僕も部長の恋を応援しています。」

そう言った伊坂に

「…そんなつもりはない。
仕事に戻るぞ…。」

俺は適当にかわして

それ以上は答えなかった。


それにしても

俺はそんなにわかりやすいのか?


態度に出ていたのか?

気をつけなくては。

正田も伊坂も曲者だからな。

それとも、顔に出ていなくても

言動につい出てしまったか…。


俺はただ、ただ…

秘かに彼女を愛していただけだ。

彼女を救いたかったんだ…絶望から。

正田も伊坂も

俺が羽美花を好きな事に気づいていても

既にもうキスを済ませている事や

一緒に眠った事などは知らない。

そして、なぜここまでして

彼女を助けたかったのか…。


…まあ、教えるつもりはないけどな。



早ければ月曜日に

経理部の大まかな処分が決まり

年明けには完全に決まる事だろう。

今回は綿貫や正田や伊坂に

俺は大いに助けられたな。

俺が笠置に与えたかった『制裁』を

既に2人は考えていて

伊坂は2人の先輩の頼みをある意味

忠実に聞いて実行に移す手助けをした。


彼女は今回、3人の団結に助けられた。

俺も3人には感謝している。


笠置がいなくなれば

羽美花は安心して仕事が出来る。

それに、これで彼女が確実に

その瞳に俺を映して

俺だけを見てくれるのだから。

後は俺に

『愛してる』と囁いてくれれば

もっと嬉しいけどな。
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