【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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夏の暑さが厳しくなる季節。

私はこの日関西にいた。

システム関連の研修会への参加を

上司から私は指示された。

私ぐらいの年数の社員は行くように

言われる、誰もが通っている道。

私は前日の夕方から

新幹線や電車で移動して宿泊した。

そして、翌朝から研修会へ。

…はぁ…やっと終わった。

何だか目が疲れたな。

参加者がザワザワと帰路に着く。

まだ、新幹線まで十分時間がある。

タクシー使わなくても

歩いて駅まで行こうと思い

会場の正面玄関を出て門の方へ

キャリーケースを動かしながら

歩いていた時

「…あの、すいません。
ちょっと待って下さい!」

後ろから男性の声が聞こえた。

違う人が呼ばれてる…そう思っていた。

でも良く見ると

私の近くには誰もいなかった。

…私の事?

そう思いながら振り向くと

スーツのジャケットを片手に持った

長身で若そうな男性が

私を追いかけてきたのか

少し息を弾ませて立っていた。

…えっ!?誰?

私はこの人知らない。

会った事がおそらくない。

首を傾げながらその男性を見て

名前を思い出そうにも

やっぱり身に覚えがない。

すると、息を整えた男性から

「….失礼ですが
野村羽美花さんですよね?」

と聞かれた。

…えっ!?どうして?

なぜ、私の名前を知ってるの?

やっぱりわからない

まったく心当たりがない。


首を傾げる私に

男性はクスッと笑った。

「…今、俺の顔見てさ
『この人誰だろう?』って
思ったでしょう?」

男性は不敵な笑みを浮かべて私を見た。

顔に出てしまっていた…恥ずかしい。

でも、やっぱりこの人を知らない。

黙ったままの私に

「….初めまして。
俺、D社関西営業所の
甲田静一(こうだ・せいいち)
と言います。」

男性が私に挨拶をした。

「…野村羽美花です…初めまして。」

私も挨拶を返した。

わからないはずだ。

D社とは普段から関わりが少なく

ましてや関西営業所だと…。

でも、なぜ私の名前を知っているの?

黙ってると

「…お話があります。
新幹線の時間もありますから
時間は取らせません。」

そう言って男性は私を急かした。

「…あっ、ちょっと。」

私は困惑していた。
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