【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
あとは

彼女に俺の子どもを産んで欲しい…。

そう願っていた。

しかし

その願いが叶う事はなかったと

まだこの頃の俺は知る由もなかった。


***


年が変わり俺は主任になった。

彼女は念願のエリアリーダーになった。

業務成績や営業トークにも

安定性があると評価され

今春からA社の他にも

親会社のSコーポレーションの

新人研修の講師や指導係を依頼され

本社への出張も増える事になった。

相変わらず彼女も忙しく

すれ違い生活になっていた。


俺としては寂しいと思う気持ちと

『子どもを産んで欲しい…。』

『家にいて欲しい…。』

と思い、話し合いはするものの

毎回良い返答は貰えない。

首を縦に振ってはくれない。


彼女は重責あるエリアリーダー。

女性…しかも最年少での昇格。

必要不可欠な人材らしく

3年目にして、後輩だけでなく

自分より先輩も纏めないといけない。

残業で俺と同じ時間に帰宅したり

休暇日であっても

自宅でパソコンに向き合い

「…農園に頼まれたから。」

と、急遽行ってしまうほどの

多忙振りだった。


彼女としては

『今は悔いのない業績を出したい。』

『エリアリーダーを放棄出来ない。』

『やっと、対立していた先輩が
私に味方してくれたから…。』

『開拓していきたい。』

『まだ、25歳にもなってないから
まだその気にはなれない。』

と拒否されていた。


『仕事を続けてもいい。』


結婚前の約束だったから

俺は強く言えずにいた。

『私の仕事を咲輝翔は
応援してくれていたじゃない!!』

と言われてしまうと弱かった。

彼女の意志を

尊重していくしかなかった。


一方で

御令嬢と結婚した戸叶は

いつの間にか携帯番号を変えていた。

連絡が取れず、疎遠になった。

『でも、また会えるだろう…。』

と安易に考えていた。


そう…この時は。





< 273 / 320 >

この作品をシェア

pagetop