【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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ここは関西の某ホテルの和室。

俺と東京からわざわざ駆けつけた

俺の両親と妹の夏希の目の前に

憔悴した様子で座る静花の両親。

そして、その隣には

俺を騙して、御令嬢も騙して

京都と神戸で密会を繰り返して

俺が出張へ行っていた間に

荷物を纏めて家を出て

俺の知らないところで

誰にも邪魔させない

阻止させないと言わんばかりに

勝手に婚姻届を提出して

戸籍上正式な夫婦となっていた

静花と戸叶が座っていた。


彼女も戸叶も

ここに来た時からずっと俯いたまま

俺や両親や夏希とも

目を合わせようとしない。


数年ぶりの再会となる戸叶と

1ヶ月振りの再会となる彼女は

まるで別人のようだった。


彼女の自慢の長かった黒髪は

肩の辺りまでバッサリと切られていた。

戸叶も短髪で茶色く染められていた。

髪型や印象を変えて

俺や双方の両親達から全てから

隠れて逃げていたかのように…。


しかも戸叶は

彼女の父親に殴られたのであろう。

両側の口の端が赤紫色になっていた。


俺は何気なく視線を落とした時

俯く2人の手元を見た。



2人の左手薬指には

見つかるまでの間に買ったのだろう

お揃いとも言える

結婚指輪がはめられていた。


まるで

2人の中に俺が入れないように

俺に立ち入る隙すら与えないように

俺に阻止されないように…。

そう物語っているようだった。

彼女は左手を

戸叶の右手にそっと重ねていた。




…そして、さらに俺は

いや、俺の両親も妹の夏希も

驚愕の事実を知らされる事になる。


俺の両親や夏希が

わざわざ関西まで行かなければ

ならなかった理由もこれでわかった。



…それは、静花が今

妊娠3ヶ月である事。

そして、お腹の中の子どもの父親は

もちろん戸叶だと言う事だった。


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