【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

満君は豊島さんが来る数日前に

私に打ち明けてくれた。

「…C社で噂になってたみたいで
俺もそんな話を聞いて驚いた。
聞いてしまってたら…悪かった。」

そう言って

謝罪から始まった満君の話を

私は不安ながらも、耳を傾けた。


でも…やっぱり

満君が豊島さんが過去に付き合っていて

満君が豊島さんの元彼だった噂は

……本当だった。

打ち明けてくれたうえで満君は

「…人事の話は、部長の独断で
決まった事だから。
俺は決して豊島を推薦していない。
付き合っていたのも
高校時代に少しだけだし
とっくに終わった過去の話だから。
連絡は取り合ってなんてない。
それだけは、信じて欲しい。」

そう言われてしまったら

満君を好きで仕方ない私は

どんなに不安でも

仕事だから仕方ないし

公私混同なんて出来ない。

ましてや、満君は私より大人だし

主任だから仕事だと割り切ってくれる。

それに部長の指示に逆らえない。

満君だってきっと複雑なはず。

だから、無理やりでも

「…わかった。信じるよ。」

と、作り笑顔を浮かべながら

返事するしかなかった。

でも、本当は嫌で嫌でたまらない。

豊島さんに近づかないで欲しい。

豊島さんもなぜSコーポへの出向を

希望したのかわからないけど

必要以上に満君に近づかないでと

言いたくてたまらない。


満君を信じてないワケじゃない。

でも、何だか私はとても怖くて

不安で不安でたまらない。


そんな私の不安を察知したのか

満君は私を抱き寄せると


「…羽美花が好きだ。」


と、私の唇を強く塞いでキスをした。




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