【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

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クリスマスムードと年末間近の師走。

年内ラストの月だからこそ

皆がカリカリと追い込みをかけていく。


しかし、花菜子の心配が的中し

鎮まっていたはずの

満君と豊島さんの噂話が再燃した。

その噂とは…2人らしき人物が

再び食事をしていたとの話だった。

「…ちょっ、羽美花!!
大丈夫?あの噂!
笠置主任に確かめたの!?」

「…大丈夫なの?
どうなっちゃってんの!?」

花菜子や亜美ちゃん。

同期の子達や麻美先輩も

噂を心配して尋ねてくる。

通りがかりの知らない社員さんにまで

「あなた達大丈夫なの!?」

と、声をかけられる。

サーバーメンテナンスの時にも

隣のデスクに座ってる人にまで…。

企画デザイン開発部は

藤堂課長が

噂を切り出した社員を叱責し

麻美先輩の友人で同期の

茉優莉先輩が庇って

助け舟を出してくれて

営業部は

氷室部長の根回しもあって

余計な事を聞かれずに済んだけど

全ての部署がそうではないから

聞かれたり、不幸を笑うような

表情を浮かべられたり…。

下手な同情はかえって辛いし疲れる。


勿論、満君にも確かめた。

『事実無根だ。人違いも甚だしい。
真に受けないでくれ!!
羽美花は俺を信じていればいい!』

と、言われたけど

その表情は心なしか

ピリピリしているように見えた。

噂を聞いて、噂をされて

周囲に聞かれて、否定する。

現に、経理部課長達にも

再び真意を確かめるような事を

聞かれたとの事。

満君なりに今回の事で

参っているのかもしれないけど

私の中に眠っていた

一時沈静化していた不安が

再び漂い始めたのも事実だった。

信じたいけど、不安で堪らなくなる。

また悪循環になる。

そんな毎日を過ごす日々…。

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