【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

『………おっ!?』

『…….えっ!?』

私の叫び声と、点いた照明に

今まで熱を帯びていた2人の声が

驚きの声に変わり

行為も止まったらしい。

そして

恐る恐るムックリと起き上がった

満君と目が合った。

「……!?…えっ!?羽美花?」

「……えっ!?…野村…さん?
…えっ!?……キャーッ!!」

満君は信じられないような声を出し

豊島さんが私を見て驚いて

奇声をあげた。

私が見たものは

ベッドの上でお互い裸になっていて

そんな豊島さんの上に跨って

行為に及んでいた満君の姿だった。


ベッドの近くには

お互いに脱ぎ合ったであろう

衣服が散らばっていた。


「…………。」

「…………。」


私を見たまま黙ったままの

満君と豊島さん。

私はいつのまにか

目から涙を流していた。


2人は悲しい顔をしていたであろう

私を見て固まっていた。

すると、黙っていた満君が

「…あっ、あのっ…その…。
…これは…その…。」

慌てて豊島さんから離れて

起き上がると、ベッドから降りて

傍にあった

脱いだパンツを急いで履いて

満君は私の元へ駆け寄ろうとした。

「…嫌!!…近寄らないで!!
来ないで!!……っ……うっ。」

私は涙声と大声で満君を拒んだ。

嫌…近づかないで…。

私ではない人を抱いたその手と、体で。

私に触れてなんて欲しくない。

「….あの…。」

私に拒まれた満君は

動揺しながら私を見ている。

豊島さんも起き上がって

シーツで胸元を隠すと

私に対して何か言ったらいいのか

わからないような顔をしている。


…隠しても遅いよ。

見たくないのに

見えてしまったのに

言い訳しようとしてる?

…そんな事を今は聞きたくない。

知りたくもない。

別れる事を願ってるんでしょ?

満君はそのつもりなんでしょ?

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