【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

「…羽美花。」

私の名前を呟く満君に向かって

私は口を開いた。

「…営業部の伊坂君が
言ってたんだって…。
伊坂君も今日は
満君と同じ会場で研修会が
あったんだって…。」

「………えっ!?」

「…その帰りに伊坂君が
満君を見かけて声をかけようとしたら
満君が誰かに電話をしてて
『駅で待ってろ。
俺のマンションへ行こう。』って
電話の相手に話してるところまで
聞いたんだって。」

「……なっ!?…はっ!?」

満君は伊坂君が同じ会場にいた事を

知らなかったと確信した。

「…伊坂君、最初は
相手が私だと思ってたみたいだけど
やっぱり気になって
会場の近くの駅まで
車で通ってみたんだって。
そしたら、ロータリーで
満君の車を見つけて
豊島さん…あなたが乗り込むのを
しっかり目撃したんだって。」

「……嘘!!そんな…。」

「マジかよ……。」

豊島さんは少しオロオロしかけた顔で

私を見て

満君もバツの悪そうな顔をしていた。

話している間も涙が止まらない。

でも、私は拭う余裕なく

ただ言葉をぶつけた。

「…満君、私に否定したよね?
『豊島さんとは何でもない。』って
言ってくれたよね?
また噂がたった時も
『俺を信じていればいい。』って
そう言ってくれたよね?
…でも、これは何?」

「………。」

「…レストランで取引先の人と
3人で会うのも嘘だったんだね。
会社にも、氷室部長や藤堂課長にも
嘘の説明をしたんだね…。
そこまでして
豊島さんと会いたかったの?
そこまでして
こんな事をしたかったの?」

「….………。」

「最近、苛々して様子が変だったのも
こう言う事だったんだね。
満君も豊島さんも
私を騙して、周囲に嘘ついて
こんな事して楽しかった?」

「…羽美花、ごめん。
あの…それは、その…。」

「…野村さん。ごめんなさい。」

動揺しながら私に謝る2人を

さらに睨みつけた。
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