【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

辛い…苦しい。

私はグッと手にチカラを入れた。

「もう……いいよ。
もうたくさんだよ。
満君は私と別れたいんでしょ?」

「……あの、それは。」

「豊島さんも『彼氏がいる。』って
私と花菜子に言ったあれは
嘘だったんですね?
経理部に出向を頼んだのも
満君を私から略奪する為ですか?」

「…えっ!?あの…私は。」

口ごもる豊島さん。

「…図星なんですね。
そこまでして
満君に近づきたかったんですか?
私と満君を別れさせる為に
出向頼んで満君に近づいて
私と花菜子に嘘ついて安心させて
影では満君とこうして
会ってたんですね?」

「…羽美花。」

何か言いたげな満君に向かって

私は最後にキッと睨むと

「…私は満君が好きだったのに。
高校生の時からずっとずっと。
“奏翔の妹以上の存在”に
なりたかったから
お付き合い出来て嬉しかったのに。
毎日が幸せで、このままずっと
一緒にいられると思ってたのに。」

「……羽美花。」

「…私は、考えてたよ。
願ってたんだよ。
満君との将来を…未来を。
兄だって…家族ぐるみの付き合いを
願ってくれてたし、両親だって…。」

「……ごめん。」

何に対する『ごめん』?

でも、もう…この場にいたくない。

聞きたくない。


私は最後の気力で

ジッと前を見据えて満君にぶつけた。

「…もういいよ。私達別れよう。
満君も別れたかったんだよね?
私はもう……。
こんなところにいたくない。

…………さよなら。」


そう言うと、私は2人に背を向け

スイッチを押して電気を再び消すと

“バンッ”と、音をわざとたてるように

寝室のドアを思いっ切り閉めると

急いでその場を駆け出した。
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