わたしから、プロポーズ
木下部長は、『最後の貢献』と言って、新しい商品のリース契約を結んでくれた。
その契約書をカバンにしまい、会社に戻る足取りは重い。
新しい担当者がどんな人かは分からないけれど、ウマが合わなければ私が変更される可能性だってある。
「木下部長の為にも、頑張ろうと思ってたのにな」
帰る道すがら、ウエディングドレスのディスプレイに目が止まった。
どうやらここは、結婚情報センターらしく、式場や貸衣裳などの紹介をする場所らしい。
華やかなウエディングドレスや、カクテルドレスが並べられ、思わず見入ってしまった。
これを着る事が、何より夢だったはずなのに。
あんなに願っていたプロポーズを受けて、今の私はどうして気が重くなっているのだろう。
「これが、マリッジブルーってやつなのかな」
ため息を一つついた時、中から垢抜けた女性店員が出てきた。
そして、私にA4サイズのビニール袋を手渡したのだった。
「どうぞ、ご覧ください」
「えっ!?あの、これ…」
チラリと見えた中身は、式場などのパンフレットだ。