わたしから、プロポーズ
不満なんて、ぶちまけるつもりもない私は、力いっぱい瞬爾の体を押しのけた。
「とにかく、ここから出して。仕事中に、こんな事をする人じゃなかったじゃない」
「“ヒロくんならしない”。そう思ってるのか?」
すかさず突っ込まれた言葉に、私は嫌悪感をあらわにした。
瞬爾に、こんな一面があっとは知らなかった。
ここまで嫌みぽく、そしてジワジワと人を追い詰める様な人だとは、今まで全く感じた事がなかったのに。
「どういう意味?瞬爾、いい加減にしてよ」
「いい加減にして欲しいのは、こっちだよ。昨夜の用事は、ヒロくんに会う事だったんだろ?」
まさか、そこまで知っているなんて。
どう見ても分が悪い私は、固まるしかない。
すると、瞬爾は大きくため息をついたのだった。
「図星か。今のは、カマをかけただけなんだけどな」
「カマ!?ひどいじゃない!何で、そこまでするの?」
もはや、涙目の私は感情任せに睨みつけた。
だけど、瞬爾は顔色一つ変えず、むしろ冷たく言ったのだった。
「泣きたいのはこっちだよ。いいか、莉緒。もう、みんな知ったんだ。明日からは、会社に指輪をはめてこいよ」