わたしから、プロポーズ


「それは…」

「それは?」

指輪の輝きが、皮肉なくらいに映る。

私の未来も、こんな風に輝いているものだと思っていたのに。

「分からないの。自分でも自分の心が…」

「分からない?」

小さく頷く私を、瞬爾は優しく抱きしめた。

「こんな風に抱きしめても、もう莉緒は何も感じてくれないのか?」

「ううん…。それは違う。やっぱり、瞬爾を好きな気持ちに嘘はないんだけど」

分からない。
本当に分からない。

ただ結婚をしたくないだけなのか。

それなら、どうして結婚をしたくないの?

心の中で思えば思うほど苦しいばかりで、答えは出てこない。

だけど、少し分かった事もある。

私が苦しいのと同じ様に、違う、もしかするともっと、瞬爾は苦しいのかもしれないと。

「いつの間に俺は、莉緒を苦しめる存在になってたんだろうな」

瞬爾の言葉に、自然と涙が溢れてきた。

そんな風に思わせたかった訳ではない。

言わせたかったわけではない。

それなのに、どうしてこんな寂しい言葉を、瞬爾に吐かせてしまったのだろう。

泣いている私に気付いた瞬爾が、優しくキスをした。

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