イジワル同期の恋の手ほどき
翌日、泉田さんに「昨日は無事に家に帰れた?」と聞かれて、私は少し慌てた。
なんで、泉田さんが知っているんだろ?
「はい、気づいたら朝で、どうやって帰ったかよく覚えてないんですけど」
「覚えてないの?」
泉田さんが驚いている。
ん? なんのこと?
「えっ、昨日なんかありました?」
泉田さんが寂しそうにふっと笑った。
「駅で会って、一緒に電車に乗ったんだけどな」
目をきょろきょろさせてなんとか、思い出そうとしても、公園の後の記憶がさっぱりない。
「私、なにか変なことしました?」
おそるおそる聞いてみる。
泉田さんに迷惑かけたとかならどうしようと、内心ドキドキしながら。
「そうだね、ちょっとびっくりしたかな」
泉田さんが意味深に微笑むから、ますます焦る。
「今夜、飲みにいかない?」
突然の誘いに、なんて返事すればいのかわからず、戸惑っていた。
「そのへんの話、聞きたいでしょ?」
耳もとでささやかれて、一瞬固まり、私は無言でうなずいた。