イジワル同期の恋の手ほどき
約束の土曜日がやってきた。
【着いたぞ】
宇佐原から、メールが届いたので、戸締りをして、バスケットを持って家を出た。
待ち合わせの場所は、家から歩いて五分の図書館前。宇佐原は車の外に出て待っていてくれた。
「よっ!」
目が合うと、軽く手を上げた宇佐原は紺のチノパンに、ニットのテーラージャケットはグレー、足元は白いデッキシューズ。
あれ、なんかカッコいい……。
いつもと全然違う姿に、思わず見とれていた。
そういえば、これまで七年の付き合いの中で、宇佐原の私服はほとんど見たことがなかった。
「どうした? そんなにいい男か?」
宇佐原が笑いながら得意気に言う。
「雰囲気、いつもと違うなあと思って」
「おまえも、似合ってるぞ、その格好」
宇佐原にそんな風にストレートに褒められると照れる。
今日は小花模様のカットソーに淡いピンクのパーカー、ベージュのチノパン、チェックのリュックサックをさげて、髪はポニーテール。
スーツと違うカジュアルな服装をしていると小柄なせいか年齢より幼く見えるとよく言われる。