滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

ーー何、何よ…!

そうやって溜められるとこっちまでドキドキしちゃうじゃない。





彼の言葉を待つ数秒間の沈黙の後、
漸くおもむろに呟いた。




「会ってから思ってたんだけど…、すごい似合ってるし、可愛い」




私以上に顔を赤くして言った彼。




「あっ、あ、ありがと…」



その恥ずかしさがこっちまで移って、私は再びメニューを上げてわざと顔を隠した。




ーーホント、読めないなぁ…。



笑いながら可笑しくいじるときもあれば、
こうやってストレートに気持ちを伝えてきたり。




でもその言葉に裏表がない素直な感情なんだと思えるのは、
彼の性格を誰よりも知っているからかもしれないな。

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