滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「…」
「…」
また無言の沈黙。
猫舌の私のコーヒーを啜る音だけが虚しく室内に響き渡る…。
「部屋、随分殺風景…だね」
とりあえず何かのキッカケを作る為に無理矢理話を持ちかける。
蒼は横目でチラッと私を見ると、再び前をジッと見つめた。
「別に寝に帰るだけだし、それに来月いっぱいだからココ」
「来月いっぱい?引っ越すの?」
「帰るんだよ、アメリカに」
サラリと言った言葉。
思わず息をすることすら忘れてしまうほど自分の中で時が止まった。
「こっちにいられるのは三ヶ月だけ。それを条件に会社にいれてもらったってワケ」
淡々と話す蒼に私は瞬きもしないでその横顔を見つめる。
そしてまた新たに理解出来ない事実に頭が混乱し始めた。
「だって会社の社員なんでしょ?条件つきで入れてもらうって可笑しい…」
その時、以前蒼が呟いた発言が脳裏をよぎった。