滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
とある一室に入った私と蒼。
自宅のアパートの部屋がすっぽり入ってしまうんじゃないかと思うぐらいリビングが広い。
部屋自体も綺麗で新しいし、まるでモデルルームみたいな場所だ。
たが、気になるのは室内からガランとしていて家具も大きなテレビとテーブルにソファーだけ。
それはまるで生活臭が全く感じられないぐらい奇妙な空間だった。
「コーヒーでいい?インスタントだけど」
広いカウンターキッチンに立つ蒼が要約口を開いた。
ワイシャツにジーパン姿のラフな格好している蒼に、うん。と返事を返す。
リビングから繋がるベランダからは東京の夜景が一望出来て、
今の今まで自分もあの眩しいほど光の中にいたのかと思うと変な感覚だ。
「はい」
ガラスのテーブルにコーヒーカップを置く音が聞こえて窓際に立つ私が振り返ると、
蒼はソファーに座り足を組んでカップを持ち傾けていた。
「とりあえず座れば?」
そう言われて、若干ドキドキしながらソファーの隅におもむろに座る私。