滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

「全部が全部俊介が悪いわけじゃないし、つきまとっていた彼女ももうやらないって約束してくれた。それに直接的に何かをされたワケじゃないから、私はもう…」





ーー俊介を庇うつもりはない。
でも援護しようとも思わない。



この一件で俊介に対して昔のような感情は一切消えたから。


だからもう過ぎた事は掘り返したくないし、
終わったことは振り返りたくないのだ。





「そう、か」




ついさっきまで否定的だった蒼が、
フッと鼻で笑い出す。


そして私を見つめていた目が普段通りの優しい目つきに戻った。







「奈緒子さんがそう言うなら仕方ないか
。俺がどうこう言う筋合いもないしね〜」



何か吹っ切れたのか、ハァ〜と両腕を上に伸ばし大きく息を吐いて背伸びをした。



「でも、蒼君の気持ち嬉しかったよ？私の為にいろいろ相談とか乗ってくれたし…！」



まるで私から一歩距離を置いたような言い方に少しだけ寂しさを感じた私。