滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「あー、いいのいいの。俺がただお節介ヤロウなだけだからさ。んと、うぜーなぁ俺。変な男に好かれちゃって、奈緒子さんも面倒だったでしょ」
蒼はうんうんと頷きながら苦笑う、その笑みが心なしか切なく見えてしまう。
無理に笑って、自分自身を納得させているかの様に。
「お節介なんてとんでもないよ!蒼君にはいっぱい助けられたもん。出会った時も、今も!」
「奈緒子さん…」
「それにうざくなんかない!少なくとも私は蒼君がいてくれて有難かったし、面倒な人なんて一度も思ったことないよ!」
私はたまらず蒼の腕をギュッと掴んでいた。
だって自虐的に自分を話すなんて蒼らしくない。
いつもならどーんと構えていて自信家で、
俺がいるから大丈夫だよ。って私に安心をくれるのに。
今の蒼はちょっとした衝撃で倒れてしまいそうなほど、弱々しく見えたのだ。
「そりゃ〜どうもどうも。奈緒子さんは優しいなぁ」
蒼は、はははと笑って私の頭を力任せにグシャグシャと撫で回す。