滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ブランドなんて持っていなかった私に、彼が初めてくれた大切な品物だった。
今日の今日までずっと大切に使っていたのに、
まさか自分のミスで無くしちゃうなんて…!
「とりあえずフロントに聞いてみよう…!」
たまたまホテルには日本語が出来るスタッフがいたので、
私は急いでフロントに連絡をとった。
その後詳しい事情を話すと、スタッフから直接リバティー島のカフェへ電話で聞いてくれることになった。
そして数分後…。
「そうですか、わざわざありがとうございました」
カフェスタッフの答えは、
財布の忘れ物は届いていない。という返答だった。
中身が全てなくなっていてもいい。
せめて財布だけでも帰ってきて欲しいという期待と願いは、
木っ端微塵に砕かれた。