滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
大声でそう一喝してやると、
俊介は豆鉄砲くらったように目を丸くし、
私の気迫と罵声に近い言葉に腰が抜けてへなへなと床に尻餅をついた。
そのダサい姿を見下ろしながらフンッと思いっきり睨みつけ、
周りのざわつきなどものとせず私はそのまま颯爽と歩き出した。
ーー昨日のドラマでスケバン凛子が言ってたセリフ、あれでよかったっけ??
たまたま見たドラマのワンシーンがあまりにも強烈だったせいなのか。
それとも主人公の元カレがあまりにも俊介に似ていたからなのか。
自分でもあんな言葉を使うなんてこの先ないだろうと思うぐらいどきつい台詞だったが、
ノドにつっかえていたものが綺麗に取れたような感じがして、
想像していた以上にスッキリした。
それと同時に蒼が思わず手を出してしまった気持ちが、
ほんの少しだけわかるような気がした。