滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「奈緒子さん、奈緒子さん…!?」
横たわっていた体を上半身だけ起こし、
私にコップを手渡してくれた。
私はそのまま勢いよく冷たい水を喉に通し、全てを飲み切る。
「飲み過ぎだせ?元々酒弱いんじゃないのー?」
ワイン一本簡単に開けても、まだ彼はシラフのまま。
「だって…、あんなに楽しいお酒飲んだの久しぶりだったから…」
水を飲み一息ついて要約、思考回路が普段通りに戻ってきた。
まだ完全には酔いが冷めていない、
ほろ酔い状態だ。
「あまり無理すんなよ」
ベッドの端に座った彼がそっと私の頭をなでてくれる。
「もう…止めてくれる人いないんだから」
優しい眼差しに再び熱いものが込み上げてくる。