滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
その時ギシッとベッドが軋む音を立てながら彼が私の方へ近寄ってきた。
そして私の両頬を大きな手で包みこんで囁いた。
「奈緒子さんに声をかけたのは、ナンパでも下心があったからでもない。ただ困ってる日本人がいるなと思って助けただけ」
「…ほんと?」
「嘘ついて何か得すんの。これでも誠意を持って接してるんだけどなぁ」
「うっ…」
年下の癖に私より口がうまくて、大人びててしっかりしてて、
うまく丸込められてるような気がして何だか悔しい…。
「…ダメ?俺じゃ」
その瞬間彼の言葉が耳のすぐそばで感じられた。
「ちょっ、何…!?」
「やっぱ役不足?彼氏の変わりにもなれない?」