滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

ーーえ?


「今日会ったばかりの俺に信用も信頼もないけど、少なくとも俺は奈緒子さんの力になりたいって思ってる」



彼の細くて長い指が優しい私の頬をなぞる。


直接肌に感じた温もりに、

顔か火が出そうなほど恥ずかしくなってしまった。



「そんなに自分を攻めんな。奈緒子さんは一人じゃない、目の前に俺がいるじゃんか」

「あっ、でも…」

「少し寄りかかるぐらいなら心配いらねーよ。奈緒子さんを支えられるぐらいの腕は持ってる」




電気も着いていない薄暗い部屋には、

マンハッタンの眩しい夜景が唯一の明かり。


シーンと静まり返ったここは誰にも邪魔されない二人だけの空間なのだ。



「…」

ドキドキしながら彼を見つめていると、

目を細めこう囁いた。




「そんな、俺を誘うような眼差しで見んなよ。理性が吹っ飛びそう」




そう言われてさらに胸の鼓動が速まる…!

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