滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

心無しか俺に対して聞きにくそうに呟く言葉に、若干イラっとした俺。



ーーお前がそんなこと聞ける立場なのかよ…!

散々邪魔者扱いしてきたクセに!




怒りがグッと入った手でドアノブを握る。



俺は振り返る事もせず、
その場で一言だけ残し部屋を後にした。








「ー死んだよ、今年の八月にな。母さんは」


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