花と緋色
それぞれの戦いを見て、シエリアは悲しそうな目をした。
(あぁ……)
大事なものが傷つく。
それは、悲しいこと。
そんな世界、きらいだ。
(私も、あのひとたちとおんなじ。)
世界を恨む者。
綺麗なものだけを見ていたいと思っている。
(けれど……)
傷つかずに得るものなど何もない。
汚れずに生きる方法など、ありはしないのだ。
「だから、私も……がんばらなきゃ。」
ぽつりと呟き、前を見た。
フォルクハルトもヴォルフラムとクラウジアも、劣勢だと見て取れる。
相手の疲弊も大きい。
良くて相打ちかとも思われる戦況だ。
「サイレーン、ルー……」
友を呼ぶ声は掻き消された。
頬に付いた血を拳で拭う。
「……」
血を飲めば、今以上の力を得ることが出来る。
けれど、そうすれば、後には戻れない。
そこで、以前、シャルドネに教えてもらった話を思い出した。
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