赤い流れ星
気合いを入れたとはいえ、家に帰ってから私がやったことといえば、シャワーを浴びた事と、シュウの作ってくれたごはんを食べたことだけ。

シュウは、以前、町から歩いて帰って来た時にあの林道を通ったらしくてすぐにあの場所が頭に浮かんだものの、あそこからバス道まではあまりにも近いから、きっと違う林道なのだろうと考えて、山下商店でこのあたりの地理を聞いてくれたらしい。
すると、林道はこの近くにはあそこしかないと言われ、半信半疑でまずはそこへ向かったということだった。



「だけど、なんで歩いて帰ろうなんて思ったんだ?」

「それは……」

その質問にはなんとなく答えにくく、私はそのまま口をつぐんだ。



「そういえば、あの電話どこからかけてたんだ?
誰かの携帯を借りたのか?」

「違うの……実はね…はい、これ。」

私は、シュウに携帯の入った袋を手渡した。



「なに、これ?」

「……シュウの携帯。」

「俺の?
……俺がひかりの携帯を使ってたから?」

「そうじゃないの。
やっぱり、携帯はいるかなと思って…
ほら、また、今日みたいなことがあったら困るし…
このあたりは、公衆電話なんてほとんどないし…」

シュウは、ちっとも嬉しそうな顔をしてくれなかった。
調べ物もあるみたいだし、今の時代、携帯を持ってない人なんてほとんどいないし…
私なんて携帯がないと生きていけないから、借り物なんかじゃやっぱりいやだと思ったんだけど……



「……シュウ、もしかして、この機種が気に入らなかった?」

「……そうじゃない。
携帯があれば確かに便利だけど、ただじゃないからな。
使った料金がかかるわけだろ?
それに、昨日、もう金はないって言ってたのに、この本体代はどうしたんだ?」

「あ……これね、無料の機種なの。
だから最新の機種じゃないんだけど、でも、そんなに古いってわけでもないんだよ。
私のとそれほどに変わらない。
手数料も来月の請求と一緒に来るし、今日は本当にお金は全然かかってないの。」

「……ひかり…
もしかしたら、帰りのバス代がなかったんじゃないのか?
俺のために、帰りのバス代もないのに携帯を買いに行ってくれたんじゃ…?」

シュウの真剣な眼差しが私にぐさっと突き刺さる。
私、そんな健気な女じゃないのに、シュウは完全に勘違いしてる!
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