赤い流れ星
「俺にもくれよ。」

シュウは、私の手からペットボトルを取って、残りをぐびぐびと喉を鳴らして飲み干した。
そうだ、先にシュウに飲ませてあげれば良かった。
シュウはずっと走って来てくれたんだもん。喉も乾くよね。



(……ん?)

コーラを飲むシュウの姿を見ていたその時、私は不意に気が付いた。



(か、か、間接キス……!!)




あ~…顔が熱い…
間接キスったって、私が先に飲んだんだから私がしたわけじゃないけど、で、で、でも…それは紛れもなく間接キスで……



「あれ?ひかり…」

「あぁ、ほっとしたらなんだか熱くなってきちゃった。
おなかもすいたし、暗くなって来たし、早く帰ろう!」

シュウに指摘される前に、私は無理矢理顔の赤い原因を取り繕い、そしてすっくと立ちあがった。
シュウは、私の言葉に小さく笑って頷く。



「そうだな…じゃ、帰るか。」



(……え?)



シュウの手が不意に私の手を握った。
突然のことに私はどうして良いかわからず、そのまま黙って歩いていく。



「足元、気をつけろよ。」

「……うん。」



私の速過ぎる心臓の鼓動が手を伝って気付かれやしないかとひやひやしながら、私は黙々と歩いた。
大きな手…大人になってから、誰かと手を繋ぐことなんてなかったから、それはかなりの衝撃で…
でも、不思議とその手を離したいとは思わなかった。
恥ずかしくて倒れそうだったけど…それ以上に嬉しかったせいだと思う。
安心出来たせいだと思う。
誰かに見られたらどうしようという気持ちと、誰かに見られたいようなおかしな気持ちが同時にわきあがる。
あたりには誰もいなかったけど……



どきどきしすぎて周りの景色もなにも目に入らない。
手をひかれるままに歩いていると、シュウの言った通り、すぐに見慣れたバス道に出て、そこで私はやっと我に返った。



「ここ……」

「……わかった?」

「……わかった。
……シュウ、ごめんね…」

シュウはなにも言わず、ただ笑っただけだった。



その場所は、バス停と郵便局の中間あたりの場所だった。
バス停に停めておいた自転車の前にシュウが乗り、その後ろに私が乗って家に帰った。
シュウの身体に掴まるのもものすごく恥ずかしかったけど、なんともないふりをした。
まるで、ラブラブな恋人同士のような二人乗り…
それを思うだけで、本当はもう爆発しそうなくらい恥ずかしかったんだけど……

今日はなんだか刺激がありすぎな一日で、家に辿りついた時にはほっとして全身の力が抜けるような気がした。
でも、今、へたりこんでしまうわけにはいかない。
あと少しだ、頑張れ!
私は自分に気合いを入れた。
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