赤い流れ星




「美幸~!」

何回もの乗り替えに疲れ果てて、ようやく辿りついた最寄駅には、すでに父さんと母さんが待っていた。
駅から家までは歩いてもすぐなんだから、わざわざ来なくて良いのに……



「美幸、おまえ、痩せたんじゃないのか?
体調は大丈夫なのか?」

父さんが心配そうに私の顔をまじまじとのぞき込む。



「大丈夫だよ~
最近、ちょっと気持ちを入れ替えて畑仕事や家事やったりしてるし…あ、コーラもやめたからそれで痩せたんだと思うよ。」

「えっ!あなたがコーラをやめたの?
本当に?」

母さんは目を丸くして驚いていた。
ま、確かにコーラは大好きっていうか、私にとっては普通の人の水みたいな存在だったから、驚くのも無理はないか。
とにかく、シュウの存在を臭わさないように、なんでもうまく答えなきゃ。

駅からは家までは5分程だから、他愛ない話をしているうちにすぐに着く。



(……懐かしい…)



まだ離れて一年も経たないのに、実家はずいぶんと懐かしい感じがした。



「美幸、今夜は家で食べる?
それとも、あなたの好きなファミレスに行く?」

「あ…その前に持って帰る物を片付けるよ。
ダンボールはある?」

「ダンボールならキッチンにあるけど……」

持って帰るものの準備が出来たらすぐ帰るなんて言ったらまたいろいろ言われそうだったから、私は母さんの質問には答えず話をすり替えた。

キッチンにあったのは、私が考えてたより小さなダンボールだった。
こんなんじゃ、コート類が入らない。



「母さん、私、コンビニ行って来る。」

「美幸、お菓子ならたくさん買ってあるぞ。
冷蔵庫にはケーキやプリンもあるぞ。」

「……ありがと。
すぐ帰って来るから。」

家を出ようとした私に、父さんがお金をくれた。
ダンボールをもらいに行くだけだっていうのもちょっと面倒で、私はそれを受け取り、自転車に乗って近所のコンビニに向かった。



(……わぁ…)



やっぱり、都会は違う。
町のお菓子屋さんではまだ見た事もないお菓子がいっぱい並んでた。
きっと新商品なんだろう。
ダンボールもすぐにもらえた。
都会は本当に便利だ。
必要なものはなんでもすぐに手に入る。

そのまま帰るのもなんだから、父さんの好きないちじくジャムのパンと、母さんの好きなコーヒーゼリーを買って帰った。



「美幸……ありがとう。」

なんだかこっちが戸惑ってしまうようなおかしな雰囲気で、二人はジャムパンとコーヒーゼリーを受け取ってくれた。



そういえば……今までの私は、頼まれでもしない限り、二人のために何かを買って帰ることなんてなかったかもしれない。
いつも、自分のほしいものしか買わなかった。
そうだ…私はいつも自分のことしか考えてなかったんだ……

今頃になってようやくそんなことに気付き、私は軽い自己嫌悪に陥った。
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