赤い流れ星
兄さんの服を詰めこんで発送したらすぐに帰ろうと考えてた私の気持ちはさすがに揺らいだ。
いくらなんでもそれは酷いかもしれない。
交通費だって馬鹿にならないのに、ろくに話もせずに自分の用事だけすませたらさっさと帰るなんて、それはあまりにも自分勝手な気がして来た。
でも、シュウにはすぐに戻るって言って来たし、シュウを一人にしておくのは心配だし……
どうしようかと迷っている時、父さんの声が私の耳に届いた。



「美幸……本当にすっきりしたな。
服も今までのじゃ合わないんじゃないのか?」

「えっ!?……うん、全然だめってわけじゃないけどね。」

「明日、服を買いに行くか?」

「えっ!買ってくれるの!?」

その言葉に、私は思わず飛びついてしまった。
ちょうどもう少しおしゃれな服がほしいと思ってた所だったけど、でも、お金がないから無理だと諦めてた。
……これはチャンスだ!



私はシュウに電話して一泊だけしていくことを伝えた。
シュウは気抜けするほどあっさりとした返事を返しただけで……
私がいなくてもちっとも寂しそうじゃなくて、それがなんとも複雑な気分だった。
もしかして、私と一緒に暮らしてるうちに、設定の効果がだんだん薄れて来たのか…!?
不安はどんどん広がっていったけど、とりあえず、今はやるべき事を先にやって…と考え、私は荷物を作ると言って、こっそりと兄さんの部屋に入った。



(……こんな部屋だったんだ…)



ちょっとした後ろめたさを感じながら入った兄さんの部屋は、とてもすっきりした感じで……
部屋は隣だったのに、兄さんが出て行ってからほとんど入ったことはなかった。
最後に入ったのは……記憶はないけど、多分、ずいぶん昔のことだと思う。
だから、まるで初めて入ったような気分を感じた。




(なんだか、寂しい部屋だな…)

整理整頓されてて綺麗なんだけど、なんて言うのか…そう、必要なものしかないのがなんだか寂しい雰囲気に感じられた。
普通はぬいぐるみ…は、男だからないとしても、フィギュアが飾ってあったりだとか、壁にポスターが貼ってあったりしそうなものなのに……



クローゼットの中の衣類も、ほとんどが無地の素っ気無いものだったけど、その分、考えてたよりも子供っぽいものじゃなかったから良かった。
サイズ的にもちょうどシュウに合いそうだったから、これからの季節に使えそうなセーターやコートを適当に持ち出した。
下着はちょっと無理だけど、靴下なら良いかと靴下も入れといた。
これで当分の間はなんとかなりそう……
早速、荷物を送りに行って、今回の目的を遂げたらほっとした。
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