秘密戦隊とホームレス宇宙人
思いっきりビンタを食らった。


「何すんの!コラ」


「…い、いや、」


「コラ。今あたしにエロいことしようとしたべ?」

桃子さんはヤンキーのように俺を睨んでいた。
酔っているのか、その頬っぺたはほんのりと赤い。


「いや、違いますよ。こんなとこで寝たら…」


―パチン
桃子さんはもう一発軽く叩いて、こう言った。


「あーしがどこで寝ようが関係ねーだろ!このエロザイル」


エロザイルじゃない!
俺はクロザイルだ。認めたくはないが。


「ちゃんとベッドで寝たほうがいいっすよ」


「…うん」

桃子さんはそのまま自力でベッドにもぐってしまった。

動けるのか…。そっか。

やれやれ。

俺は実家に車を返したところで、眠かったので寝ることにした。

布団は持っていってしまったので、リビングのソファで寝ていると、母が俺に言った。


「…結局誰と住むの?」


「…友達」

俺は目を閉じたまま答えた。


「友達って、どこの?」


「…高校の友達」

…ではないけれど、面倒くさいからそういうことにしておく。


「ふーん。今更一緒に住むなんておかしいわね」


「…」

俺は寝たフリをした。すべて話したところで、信じてもらえないし、母はそんな集団から足を洗いなさいと言うだろう。

宗教・カルト教団に騙されていると思われるのがオチだ。



「違う…。俺は……世界を救うんだ」


「何寝言ってんの?」
と、お袋が言って気が付く。

心の声が漏れてしまっていた。


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